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掲載経過により、表現や数値等に差異がありますので、内容はあくまで参考で、詳細はご相談ください。
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9.相続時精算課税制度

Ⅰ.相続時精算課税制度のあらまし

2003年の税制改正で、相続税と贈与税を一本化する相続時精算課税制度が創設されました。

長寿・高齢化の進展に伴い、高齢者の保有する資産を早期に次の世代に円滑に移転することができるよう、贈与段階の課税については、相続時の精算を前提に、贈与税の支払が軽減されるという制度です。一たん、この制度を選択した場合には、以後、撤回することはできませんので、専門家に相談するなど慎重に選択してください。


Ⅱ.相続時精算課税制度

1.適用対象者

この制度の適用対象となる贈与者は、65歳以上の親、受贈者は20歳以上の子である推定相続人です。子が亡くなっているときには、20歳以上の孫にも適用されます。養子も一親等の血族であり推定相続人ですから、人数に制限なく適用されます。

2.適用の手続

この制度を選択しようとする受贈者(子)は、その選択をした最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、税務署長に対して、相続時精算課税制度を選択する旨の届出書を贈与税の申告書とともに提出します。この届出は、受贈者が、各々贈与者(父又は母)ごとに提出することができます。注意しなければならない点は、最初の贈与の際の届出により相続時までこの制度は継続して適用され、撤回することはできません。

3.適用の対象となる財産

贈与財産は金銭に限定されません。みなし贈与財産も含まれ、その種類や金額、贈与回数には一切制限はありません。受贈財産は、相続開始時に、たとえ、無価値となっていたとしても、贈与時の評価額で加算されることになりますので、物価変動の影響も考慮し、相続時までに評価額が値上がりしそうな財産を選択すると有利になります。

4.税額の計算

(1)相続時精算課税制度を選択した場合

ア. 贈与税額の計算

受贈者である子は、この制度による贈与をした親からの贈与財産については、他の贈与財産と区別し、選択した年以後の各年にわたってその贈与をした親からの贈与財産の価額の合計額を基に、贈与税を計算します。非課税枠2,500万円に達するまでは何回でも無税、2,500万円を超える場合には、2,500万円を控除した残額に一律20%の税率を掛けて計算します。

注意!

この制度を選択した年以後は、基礎控除110万円を控除することはできません。贈与財産の種類や贈与回数に制限なく、特別控除額の2,500万円まで、無税で贈与(2,500万円を超えると20%の定率で課税)することができます。

イ. 相続税額の計算

この制度を選択した受贈者である子は、親の相続開始時に、相続財産の価額に相続時精算課税制度を適用した贈与財産の贈与時の価額を加算して相続税額を計算し、この制度により既に支払った贈与税額を控除します。その際、控除しきれなかった贈与税額がある場合には、還付を受けることができます。

(2)相続時精算課税制度を選択しなかった場合

ア. 贈与税

贈与財産の価額から基礎控除額110万円を控除し、贈与税の税率を掛けて贈与税額を計算します。

イ. 相続税

贈与者が亡くなったときの相続税の計算は、相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けている場合を除き、相続財産の価額に贈与財産の価額を加算する必要はありません。

従来の制度と相続時精算課税制度との比較
  従来の制度 相続時精算課税制度
贈与者の年齢 制限なし 65歳以上
受贈者の年齢 制限なし 20歳以上
相続開始時に加算される財産 相続開始前3年以内の贈与財産 この制度を選択した後の全部の贈与財産
加算される贈与財産の価額 贈与時の相続税評価額 贈与時の相続税評価額
贈与税が相続税を超える場合 差額分は還付されない 差額分は還付される
贈与財産からの債務控除 できない できる
受贈財産の物納 できる できない