配偶者と子ども2人(計3名)の場合の相続税の基礎控除額は、3,000万円+600万円×3(名)=合計 4,800万円です。
日本の国内に住所がある相続人(居住無制限納税義務者)は、相続財産がどこにあるかを問わず、すべての財産について、相続税がかかりますが、国内に住所がない相続人(非居住無制限納税義務者)は、相続した財産のうち、日本の国内にある財産だけに相続税がかかります。
ただし、2000年4月1日以降、国外の財産を相続によって取得した個人が、日本国籍を有しており、かつ、相続開始前5年以内に相続人又は被相続人が日本国内に住所を有していた場合には相続税の納税義務者に該当することになりました。
民法では、相続人の範囲を次のように定めています。
第1順位 | 子どもと配偶者 |
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第2順位 | 親と配偶者 |
第3順位 | 兄弟姉妹と配偶者 |
つまり、被相続人に子ども、親、兄弟がいる場合には、まず、子どもが相続人となります。
子どもがいない場合には、被相続人の親が、
子どもも親もいない場合には兄弟が相続人となります。
また、被相続人の配偶者は常に相続人となりますが、内縁の妻には相続権はありません。
親や祖父母などを直系尊属といい、子どもや孫などを直系卑属といいます。
子どもが既に死亡している場合には、その子(被相続人にとっては孫)が相続人となります。これを代襲相続といいます。
民法上、養子には実子と同じ相続権がありますが、相続税の計算をする場合には他に実子がいるときは1人、
実子がいないときは2人までと制限されています。
胎児は、相続に関しては既に生まれたものとみなされますが、死んで生まれたときは適用されません。
相続税の計算をするときは、一応胎児を除いて計算をしておき、元気に生まれたとき、更正の請求などをして計算をやり直します。直系尊属には、養父母は含まれますが、継父母は含まれません。
相続人となる兄弟姉妹が既に死亡している場合には、その子どもつまり甥姪に限り、代襲相続が認められます。
相続によって受け継ぐ財産の中には、現金・預金・土地や株式などの積極財産のほかに、借入金や未払金のような消極財産つまり負債も含まれます。
資産より負債が多い場合や、どちらが多いか判断できないような場合には、相続の開始があったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に一定の手続きをすることを条件に、「相続の放棄」「限定承認」という制度がありますので検討してみましょう。
「相続の放棄」をするには、他の相続人と足並を揃える必要はなく、自分1人でもすることができます。家庭裁判所では関係者を呼び出し、放棄を確認します。相続の放棄が認められると、その相続人は始めから、相続人でなかったものとみなされますが,相続税の基礎控除や非課税限度額の計算の上では、法定相続人の数に入ります。
「限定承認」とは、相続財産として資産も負債も引き継ぎますが、借金の支払は相続財産を限度とするというものです。
この制度は被相続人にどの程度の借金があるか分からない場合にはメリットがありますが、相続人の全員が一致して行わなければならないことと、相続の放棄に比べると手続きが厄介なことなどがデメリットとして挙げられます。
限定承認が行われた場合には、相続財産は、相続税評価額でなく、被相続人が時価で売却したものとみなされます。その譲渡による所得税は準確定申告で納めることになりますが、被相続人の債務として、相続財産の限度で支払えばよいことになります。
相続財産の金額が基礎控除の3,000万円と法定相続人1人につき、600万円との合計額(これを基礎控除額といいます)以下の場合には、相続税の申告書を提出する必要もありませんし、相続税を納める義務もありません。
基礎控除額を超える場合には、超える部分について相続税の計算をしなければなりません。
相続税の基礎控除額 3,000万円+600万円×法定相続人の数 |